八雲町水産試験研究施設
八雲町水産試験研究施設
施設の目的
近年、北海道日本海の水産業は、海水温の変動等により漁獲量が著しく低迷し、特にスケトウダラやイカの不漁、さらにウニ・アワビ・ナマコ等の浅海資源の減少により漁業経営及び地域経済にも大きな影響を受けています。
このような状況下で八雲町は、日本海熊石地域に八雲町水産試験研究施設を設置し、北海道大学水産学部との共同で、新たな海洋深層水の利活用及び日本海(八雲町)の海域特性に合った水産動植物の研究・技術開発を行うこととし、さらには研究範囲を噴火湾(八雲地域)に拡大しつつ、八雲町水産業の振興に役立てていきます。
現在の研究内容
1 海藻類の研究
ダルスの陸上養殖試験
ダルスは紅藻類の海藻で、大西洋北部沿岸で自生し、カナダやアイルランドでは昔から食べられている海藻です。ミネラルやビタミン、抗酸化物質、タンパク質が豊富に含まれていることから世界的に注目されています。ダルスは北海道沿岸に自生していますが、冬に成熟し春になると枯れてしまうことから、熊石では海洋深層水の特性である低温性を生かすことで通年の収穫を目指した陸上養殖を研究しています。
2 魚類の研究
ソイの陸上養殖試験
北海道南部では日本海側はマゾイ(学名キツネメバル)が多く、太平洋側はクロソイが多く漁獲されます。どちらも高級魚として首都圏で流通していますが、マゾイは味が良く、漁獲量も少ないため高価です。しかし養殖するにはマゾイは成長が遅いのが欠点です。そこで熊石では、成長が早いクロソイと成長は遅いが味が良いマゾイを掛け合わせた品種について陸上養殖試験で研究しています。
3 ウニの研究
キタムラサキウニの食味改良試験
北海道日本海沿岸では、コンブなどの海藻がなくなり、石灰藻で覆われ岩が白くなった状態の磯焼けが問題となっています。冬季間のウニの摂餌活動により、海藻類が成長する前に芽が食べられてしまうことから、ウニの生息海域には夏場になっても、ウニの餌となる海藻がなく、ウニの身といわれる生殖巣が全く大きくならない痩せウニの状態です。この痩せウニを、実入りを良くすると共に、味についても天然ウニに遜色がないものとなるような餌について研究しています。