鐙谷 抱圓
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アイヌ を描く
鐙谷抱圓(あぶみや ほうえん)は、アイヌを描いた日本画家の一人です。
明治時代に熊石に生まれ、小学校卒業後に画家を目指して上京し、横山大観の門に入り、日本画を研究しました。昭和13(1938)年には熊石に戻り、創作活動を展開しました。
八雲町熊石歴史記念館には、アイヌを描いた抱圓の代表的な作品である「槌打の舞」が所蔵されています。
この絵は、幕末巡見使が西蝦夷地の乙部村に宿泊した夜に、相沼内に住むアイヌが訪れて、男子は「槌打の舞」を、女子は「鶴の舞」を披露する、という故事をもとに描かれたもので、抱圓の教養の深さをうかがわせます。
このほかに、抱圓がアイヌを描いた絵は、有珠の善光寺にも残されています。
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抱圓は、小樽、札幌、函館などに出かけて絵を描きましたが、小樽の旅館 銀鱗荘には、今でもその絵が襖や欄間に残っています。
抱圓の作品は、掛け軸をはじめ、屏風、色紙、板絵など、およそ100点が確認されており、熊石地域には根崎神社、八雲神社、八雲町熊石歴史記念館の他、各町内会の山車の絵としても残っています。