雪あかりの路 より (伊藤整)
雪夜ああ 雪のあらしだ。家々はその中に盲目になり 身を伏せて埋もれてゐる。この恐ろしい夜でもそつと窓の雪を叩いて外を覗いてごらん。あの吹雪が木々に唸つて 狂つて一しきり去つた後を気づかれない様に覗いてごらん。雪明りだよ。案外に明るくてもう道なんか無くなつてゐるがしづかな青い雪明りだよ。
今日も、日中の雪は 時折激しく降っていた。
今夜、どうのような 雪 になるだろう。
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