一見すると、木の根にしか見えないが、よく見ると這い熊である。柴崎重行(号 志化雪・志)と根本勲(号 土龍)の木彫り熊の合作である。
柴崎氏の木彫り熊作品を見慣れている人にとっては、どこが顔でどこが足にあたるかなど、判断できるかもしれないが、初めて目にする人にとっては、「これは何ですか?」と言うことになる。
この作品は、長万部町の工藤病院の裏玄関にあったもので、大作のため室内に置くことが出来ないことから、約40年間も風雪に曝されていたものを、浅尾氏(後に柴崎木彫鑑賞会を発足させる)が譲り受けたもので、センの木を素材にし、55cmほどの大きさがあります。現在は巡り巡って「八雲木彫り熊展示室」にあります。
作品には、1932年俺志化と刻まれているが、作品名か作者名なのかは判然としない。
昭和7年に、柴崎氏と根本氏がキャンプをしながら各地を巡り、長万部町の「中の沢」で見つけた木の根に若い情熱をぶつけて制作した合作だそうです。
柴崎氏と根本氏(函館出身の彫刻家)の出会いは、昭和5年に東京に於いて開催された、帝国工芸会主催の観光団土産品展覧会に柴崎氏が作品を出品し、根本氏の目にとまったのが発端で交流が始まったそうです。
柴崎氏は、昭和6年の第7回道展彫刻の部に、毛彫りのマスクを出品し入選を果たした。翌年には、弟に酪農業を譲り、根本氏とノルウェーのエドワード・ムンクに会うために渡航準備をしていたが、渡航直前に弟が発病し断念したという逸話が残っております。
柴崎・根本合作作品 (顔と前両足が表現されている) |
柴崎・根本合作作品 (左前足・顔が表現されている) |
投稿者:しんちゃん