セイウチの化石のこと

 郷土資料館には、セイウチの化石の一部が展示してあります。この化石は、1986(昭和61)年10月に上の湯地区で、町教委と今金町ピリカ海牛研究会(当時)の合同調査によって発見されました。
 出土層は新生代鮮新世の黒松内層下部(凝灰質シルト岩・砂岩)で、今からおよそ4~5百万年前のものと言われています。化石クリーニングが少し進んだ頃は、研究者によって、は虫類説、クジラ説、アシカ説など色々な説が唱えられましたが、ある程度クリーニングが進んだ段階で、セイウチ説が有力になっています。しかし、結論から言うと、、クリーニングが終わって各部位を調査しないとハッキリしたことが分からないと言うことです。
 当初、八雲自然文化研究会などで、タガネとハンマー、電動ドリルなどを使って化石クリーニングを実施してきましたが、母岩(化石を含んでいる岩石のこと)が小さくなり、化石の露出が多くなると、タガネなどを使うことによってどんどん化石が壊れるようになりました。鉱物に置換(遺体が鉱物などに置き換わること)された遺体化石が母岩より脆い場合のクリーニング方法として、母岩を薬品によって溶かして削るという方法があります。セイウチの化石の表面にパラフィンを塗り、化石に薬品が直接触れないようにしてから、約10%に稀薄した酢酸に化石全体を浸して、柔らかくなった母岩の表面だけにワイヤーブラシを使って数ミリ単位で削っていくという気の遠くなる様な作業を行いました。作業する人もいろいろ変わりましたが、何とか現在にいたっています。  
 化石は、地球とそこに住む生物がどの様に変化して行くかを研究する上で、大変貴重な資料と言うことで、今後もクリーニングを進めていきます。

セイウチの発掘風景
セイウチの化石発掘風景(昭和61年)

 

セイウチの化石
クリーニングが進んだセイウチの化石(表面にパラフィンが塗ってある状態)

 長谷さんご苦労様でした。

 

投稿者:しんちゃん


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