ユー ラㇷ゚(遊楽部)岳の巨鳥
八雲地域のおはなし
MAP No.26【ユー ラㇷ゚(遊楽部)岳の巨鳥】
サル(沙流)に片羽が七里ある鳥が住んで居ました。
その鳥は外国に旅する時にいつもユウラップ岳に来て一休みしていました。
この鳥は人を食べたり、畑を荒らしたり悪いことばかりをしたので、サルのアイヌは我慢をできなくなり、鳥を退治することにしました。
選ばれた強い若い二人が、鉾で鳥を突き退治をしましたが、鳥は恨んで「ホウソ」の神に頼み、サルをかたき討ちにしました。
ユー ラㇷ゚(遊楽部)岳の巨鳥
世の中が開けない前、サルに片羽七里のある鳥住んで居た。
その鳥外国さ旅する時いつもユウラップ岳さ来て一休みした。だからユウラップというんだ。
サルでまだそんなに昔でない頃、此鳥まだ住んでた。
人捕って喰ったり畑荒したり生物捕って喰ったり、悪いことばりした。
サルの人達、がまん出来なくなって鳥退治することになり、強い若い二人選び出された。
二人の若い者、鹿の皮四〇枚用意して山さ行き、一人は鉾を持って沢に居た。
一人は皮背負って山さ登った。
山さ登った若い者皮一まとめにして沢さ投げたら鳥それを見て鹿と間違えて沢さ飛び下りて来た。
沢に持った若い者直ぐ鉾で鳥ば突いたら片羽七里もある鳥だからたまらねえ、散ざん曳きづり廻されたどもとうとう鳥負けて宝物出すからゆるして呉れろといったども若いものゆるさなかった。
鳥は死んで天さ登ったども、ゆるされなかったのばうらんで「ほうそ」の神さ頼んでサルさ敵打ちに来た。サルの人達「ほうそ」の神にかかって散ざんなやまされたそうだ。
イカシパの話
昭和3(1928)年 都築重雄「八雲の地名と伝説」『ゆうらふ6号』
渡島と檜山の境にそびえる遊楽部岳(1275.5メートル)は、昔日高の山中にいた片羽の長さが七里もある大きな鳥が、外国へ行くときに休む場所であったので、ウー(泊る)、ラップ(翼)といいました。しかしこれは、後世になってから地名の解釈に付け加えられた話で、ユーラップは温泉(ユー)の流れ下る川(ラㇷ゚)という意味です。
(更科源蔵『北海道の伝説集 アイヌ篇』)