カムイエロスキイ(雄鉾岳)の伝説

カムイエロスキイ(雄鉾岳)の伝説

八雲地域のおはなし

MAP No.24【カムイエロスキイ(雄鉾岳)の伝説】

鉛川の上流、渡島と檜山の境にある雄鉾岳(999.3メートル)は、カムイエロシキ(神様がそこに立っているところ)、あるいはウカイヌプリ(お互いに背負い合う山)ともいわれて、昔から神聖な山とし、ふもとのコタンで神に酒を上げるときは、コタンの中から選ばれた1人の古老によって上げるのがならわしでした。

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カムイエロスキイ(雄鉾岳)の伝説 その1

早い頃、ユーラップコタンに悪病が起こった。
イカシ達カムイノミしてカムイさ祈ったらカムイ此の山さ立って悪病神追払った。
また、山燃えて灰降ったとき、矢張り此処さカムイ立って灰ば吹き飛ばした。
イカシ達此の山さイナウあげて酒供えるけども、無暗とやらない。
きっと年寄り達のうち一人選ばれてカムイノミするんだ。
トイタレキの話
昭和3(1928)年 都築重雄「八雲の地名と伝説」『ゆうらふ6号』

カムイエロスキイ(雄鉾岳)の伝説 その2

雄鉾岳、あれカムイエロスキイと俺達云う。
あの山の影の方に沼あるそうだ。
その沼に主凄んで居て、主えらい毒気持っているそうだ。
沼のあたりの草枯れてしまうと云うし、木みんな頭かれているそうだ。
人若し其処さ行って毒気にあてられればきっと死ぬ。
俺れ小さい頃そんな人居てあった。
何でも山から下りて三日だか四日だか苦しんで死んでしまったそうだ。
イカシバの話
昭和3(1928)年 都築重雄「八雲の地名と伝説」『ゆうらふ6号』

冬の雄鉾岳
冬の雄鉾岳

沢歩きから始まって、山頂近くでは鎖につかまっての登坂もある等、中級者~上級者向けの山として人気があります。頂上からは太平洋(内浦湾・噴火湾)と日本海の両方を見ることができます。

雄鉾岳が描かれている落部村の沿岸を描いた鳥瞰図
幕末に、落部村の沿岸を描いた鳥瞰図 雄鉾岳が描かれている「延叙歴検真図」函館市中央図書館所蔵