オトナ川の伝説

オトナ川の伝説

八雲地域のおはなし

MAP No.20【オトナ川の伝説】

この川は元はユーラップコタンのオッテナ(乙名)の川で、鮭が多くのぼっていました。
あるときブイタウシのアイヌが魚を捕ったが凍えて死んでいました。
ブイタウシの人はそれを見てチャランケ(談判)をして、鮭を歩合で渡すことになったそうです。
そのころのブイタウシのアイヌは勢いがあって恐ろしかったそうです。

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オトナ川の伝説

此の川、元ユウラップコタンのオッテナの持川であった。
或る時ブイタウシのアイヌ此の川さ入って魚捕って凍えて死んでいた。
ブイタウシの人達それば見て「ユウラップのアイヌ達あの男ば殺したんだべ。いくら仲悪くとも人まで殺さなくともよかべ。だども殺したものは仕方がないからポンベツ俺れ方さよこせ」といって、チャランケ付けたとも、話し合って歩合で渡すことになったそうだ。
そのころからアキアジ(鮭)沢山居て水の色まで変わってあったそうだ。
その時ブイタウシの人達とてもえらい勢いでおそろしかった。
ユウラップの部落の人達も随分さはいだものだ。
トイタレキの話
昭和3(1928)年 都築重雄「八雲の地名と伝説」『ゆうらふ6号』