メナシウンマッケナシの伝説

メナシウンマッケナシの伝説

八雲地域のおはなし

MAP No.19【メナシウンマッケナシの伝説】

メナシ(根室国目梨郡の者)、ウン(そこに存在する)、マッケナシ(娘)と呼ばれた場所がありました。ここにメナシマツ(東の娘)が二人、仮小屋を造って住んで居ました。通りかかったユーラップコタンの若者が尋ねたところ、メナシでアイヌの同士打ちがあり、難から逃れるため、舟に乗りたどりついた、といいます。若者は、春になって雪解けをまった後、姉妹をメナシに無事に送り届けました。

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メナシウンマッケナシの伝説

セイヨウベツからサックルペシペに行く途中にある十三曲がりのふもとの地名で、メナシ(根室国目梨郡の者)、ウン(そこに存在する)、マッケナシ(娘)、と呼んだ所がありますが、これについては次のような伝説があります。

ある年の冬、ユーラップコタンの若者がそろってサックルペシペやセイヨウベツの山々にくま狩りに出掛け、たくさんの獲物を背負って山から下り、シュルクトシナイの上陸地から舟に乗ろうとすると、この地では見慣れない一条の煙が立ち昇るのが見えた。
若者たちは、「来た時にはあんな煙は見掛けなかったが、だれか居るのだろうか?」と疑問に思い、煙の昇っている所へ近づいてみた。

すると、しか皮などを身に着けたメナシマツ(東の娘)が二人、仮小屋を造って住んで居たのである。若者たちがこの娘に事情を尋ねると、メナシアイヌの同士打ちがあった際、コタンの長はかれんな娘たちをこの難から逃すため、姉妹を小舟に乗せて沖に放したのであった。行方の定まらないこの舟は、波間に漂うこと幾十日、奇跡的にも親潮に乗り、ついに日本海側の瀬棚付近に漂着した。
しかし、2人の娘はホッとする間もなく、人目を避けて食物を求めながら山また山を歩いているうちに、サックルペシペからセイヨウベツの辺りに出たのであった。

これを聞いた若者たちは深く同情し、「今は家に届けなければならない獲物があるので、春になったら必ず迎えに来るから、それまでここで待っているように」と言い残して、自分たちの持っている食物を与えて帰ったのである。
春になり、雪解けを待って彼女たちをコタンに迎え、モリ、オトシベのコタンの長と相談して二人を隣りのコタンヘ舟で送り、平和を取り戻したメナシのコタンに無事送り届けたのであった。

また一説には、メナシ(東の方)から来た女神のいた所の意味であるともいわれている。